- コラム
教育移住の広がり、ASPAの役割
2024.04.01えひめ放課後教育機構(ASPA)
代表理事 熊谷 太郎/松山大学経済学部教授
先日、教育移住が首都圏で広がりつつあるという記事を目にしました。その理由の中に、「自然豊かな環境でのびのび子育てしたい」という項目が挙げられていました。松山市を含め、愛媛県は豊かな自然環境が身近にあり、比較的のびのび子育てができる環境が整っていると思います。
今年度、全国で放課後児童クラブに入れなかった待機児童が、前年同月から1096人増加して、1万6267人(2023年5月時点)となりました。愛媛県では271人(前年同月から1人減)、うち松山市では83人の待機児童が生じており、前年同月から46人増加しています。新型コロナウイルスの流行が収束し、働き控えの解消が影響しているようです。児童クラブの数自体はやや増えているものの、利用希望者の増加に追いついていないのが現状です。申し出そのものを控えた人を含めると、待機児童数はさらに多いと考えられます。
放課後児童クラブを利用している児童は愛媛県で約1万5000人、松山市で約6000人。いずれも、約4人に1人の児童が利用していることになります。共働きの家庭が少なかった私の子どもの頃と比べると、隔世の感を禁じ得ません。さらに、近年は塾や習い事に通う子どもたちも多く、学年の違う友達との関わりが減ってきているように感じます。そのように考えると、放課後児童クラブは子どもたちの社会性を育む大切な場所の一つになっています。
子どもたちが社会性を育むためには、大人の関わりがとても大切です。ただ、マンパワーの不足により、どうしても多様な関わりを維持することが難しいという現状があります。そもそも社会性を育んだり多様な価値観に触れさせたりするのに、どのような取り組みをしてよいのか悩むこともあるかもしれません。他にも悩みはたくさんあると推察します。
様々な問題・課題を一人、あるいは一つのクラブだけで抱えることはとても大変です。えひめASPAは、クラブ同士をつなげる接着剤としての役割を担うことで、多くのクラブ間で課題を共有し、解決に向けて歩を進めることで、一人でも多くの子どもたちに豊かな放課後を提供するお手伝いを担っていきたいと考えています。